それでもボクはやってない

通院のために早退して、診察を受けた後に池袋に出て鑑賞。この手のは結構好きなんだよね。
で、見た感想。面白い……けど正直救いがないなあ。毎朝中央線のラッシュで通勤している人間からすると、物語として楽しむよりももし自分の身に降りかかってしまったらという恐怖の方が強い。劇中では弁護側の初動を遅らせた原因っぽく描かれていた当番弁護士の言っていたやり方が、結局一番いい方法なのかもと思わされてしまう。主人公はフリーターだからいいかもしれないけど、サラリーマンは何十日も勾留なんてされていられないよ。
あと、弁護側はどれだけ費用がかかっているんだろう。具体的なのは保釈金の500万円。他に弁護人の費用、証人の日当、再現ビデオの撮影はスタジオ借りてまでやってるし。他の冤罪被害者のボランティアを使えた分人件費は抑えられたかもしれないけど、その間主人公には収入ないんだろうし。裁判に勝ってれば帰ってくる(+勾留期間の日当も得られる)けど負けたからにはそのままマイナスだよ。
人件費と言えばここまでやってくれる親友なんていないわ。はあ。
こうなると自分に出来ることってまずは疑われないように電車に乗るときは常にビクビクして過ごせってことだよな。隣に女性が立ったら不運。常に手は胸より上に挙げておこう。ヘッドホンで音楽を聴きながら目を瞑っていたら痴漢には見られないかな?外部情報を遮断している犯罪者なんていないと思うけどそんなことはないのかな。
捕まってしまったらもうおしまいだ。自宅の捜索でもあれば山ほどのエロ漫画、同人、ゲームが被疑者の性癖を衆目に晒す。二次元じゃないとダメとか中学生なんて年増には興味がないとかフタナリでちんこ生えてるおにゃのこじゃないといけないとかせめてメガネかけてろとか言っても聞いてくれないだろう。違法ファイル交換があるからWinnyを作った47氏が犯罪者なら、痴漢のある鉄道を作ったスチーブンスンは大犯罪者だ。
などといろいろもやもやしたものを抱えてしまったものの面白かった。瀬戸朝香が主人公のことを信用するまでがもちょっとあると良かったかもしれないけど、158分のどこが削れるかというとねえ。ディレクターズカット版とかに入っていてもいいかも。